航空宇宙系企業は航空宇宙分野の人を求めているという勘違い
どーもどもども絨です。
航空宇宙業界へ就職する人といえばどのようなイメージをお持ちでしょうか。
上記のような人が航空宇宙業界に来ることが多いのは確かに事実です。
しかし、実際に航空宇宙系の事業所が求めている人材はそれだけではありません。
現在、航空宇宙分野で働いている私の視点で、どのような人材が求められているのかを、本記事では纏めてみたいと思います。
主に航空宇宙業界を志望している色んな分野の皆さんに一読して頂けますと幸いです。
航空宇宙製品は総合工学の結晶
航空宇宙製品と言えば色々とありますよね。
これら製品を、航空宇宙工学分野で学習する知識・経験だけで、設計・量産することは可能でしょうか。
答えはNoです。
理由は簡単で、航空宇宙工学製品は、総合工学(数多の工学分野)の結晶だからです。
皆さんの身の回りにある製品で考えるとわかりやすいと思います。例えば電子レンジ。
電子レンジを作るためには、
- 内部の構造最適化・規格を満たす強度を有するための機械的知識
- 電子レンジの機能であるマイクロ波出力やその他制御を実現するための回路等の電気的知識
- ボタン押下→特定の動作などの制御を実現するためのソフトウェア開発などの情報学的知識
と、複数の分野に跨って様々なノウハウが必要になってきます。
皆さんの中には、
- 航空宇宙(ロケット、航空機)や車→機械メーカ
- 航空宇宙(人工衛星)や家電→電機メーカ
ってイメージあるけど!?
という声があるかもしれません。
これは、
ロケット・航空機・車
厳しい環境・条件で使われる製品であるため、非常に頑丈な機械的設計が必要となり、いくら電気的設計や組み込んだプログラムがイケてても、構造が上手く設計できていなければ製品として成立しない。そのため、製品開発や量産の取り纏めが機械系中心になりがち。
人工衛星・家電
機械的設計も重要であるが、製品が持つ機能実現のための電気的設計が大きなウェイトを占めており、取り纏めが電気系中心になりがち。(人工衛星・家電などは未経験ですので、聞いた話や自身の経験を踏まえた考察です)
というものに起因しているだけであり、結局どの製品でも全ての分野が非常に大事な要素となります。当然ですが、広く浅い知識では良質な製品を開発するのは難しいため、色んな分野の人材に集まって欲しい訳です。
なので、声を大きくして述べさせていただきます。
航空宇宙関連企業は、
色んな分野の人材を欲しています。
※ 勿論、航空宇宙分野の人材も欲しています。但し、航空宇宙分野の人材は、言われずとも航空宇宙系企業を志望するので、企業側として熱望しているという感じではないです。
特に航空宇宙に需要の高い分野
色んな分野の人材を欲しているとは言え、特に欲しい分野というのは存在します。特に需要が高い2分野を紹介しますね。
情報系
昨今の技術動向の観点から、やはり需要は高いです。
- AI、ビッグデータの活用
- IoTの実現
上記2つの技術を、当然ですが航空宇宙分野にも積極的に盛り込んでいきたい訳ですよね。
そうなると情報分野に強い人材が欲しい訳です。
電気・電子系
そもそも回路設計や電子機器の構造設計等で恒常的に需要は高いです。
その上、最近ではSDGsや二酸化炭素排出量を抑えること等が注目されているため、電動化が進むこととなります。
そうなるとパッと思いつくだけでも、
- モーター、インバータ設計などのパワーエレクトロニクス
- モーターを制御するための制御プログラム(情報系)
が必要となり、やはり情報・電気電子系は需要が増大していくと考えられます。
外注で対応しちゃう?
外注でなんとかするからそこまで需要増えないでしょ。という意見もあるかと思います。確かに、そのような流れになる可能性は0ではないです。
しかし、今後の要になっていくと考えられる次世代の技術(AI, IoT, 電動化)を実現するために重要なピースとなることは間違いないであろう、上記2分野ですので、良くある外注でなんとかするという流れにはなりにくいと考えております。理由は以下の2点です。
- 今後の要となる部分の技術開発であるため、基本的には外に出さずに社内で完結したがるはず。(ノウハウ等も全て社内で保有したい)
- 同じグループ会社の下請にお願いするとかはあり得そうだが、事細かに仕様を決めるには結局ノウハウが必要なので親会社側にも上記2分野の人材が必要なのは間違いないと思われるため。
事業戦略的な観点からも、これかも需要は高まっていくと思われます。(既に高まっておりますが、、)
なんとなく航空宇宙は遠いイメージを持たれている方が多いイメージでしたが、そんなことはありません。
現在、航空宇宙と縁もゆかりも無いとしても、もし興味があれば敬遠せずに門を叩いて推してみて欲しいなと感じています。
ではではまたまた。